いつの間にかエンジンの樹脂化がすぐそこまで来ていた

「樹脂エンジン」とはなかなか聞きなれない言葉かもしれません。

簡単に言うと、エンジンを鉄ではなくプラスチックで作れば軽くていいのでは?というのが樹脂エンジンです。

プラスチックでエンジンが作れるわけないだろ!というのが普通の反応なのですが、ところが最近では樹脂材料の性質が向上してきて、比較的高温な場所にも樹脂パーツを採用できるようになってきたんですね。

車の中でもっとも重量が大きい部品であるエンジンが軽量化できればいろんな恩恵が出てくるわけですから、各社力を入れて研究開発している分野なんです。

樹脂エンジンとは

現代の自動車のエンジンは鉄で出来ています。

鉄は熱に対する形状変化が少なく加工性が容易なため、エンジンの素材として広く使われています。

車に限らず、バイクや航空機、船舶、田植え機から草刈り機まで、ほぼエンジンは全て鉄で作られています。

しかし一方で鉄は比重が7~8近くある物質なので”重い”んですね。

その鉄で出来ているエンジンは車体重量の約1/10を占めると言われています。

ある意味、鉄の塊であるエンジンを樹脂素材で置き換えられたら、2000ccクラスの車では約40kgの軽量化(!)が実現出来ると言われています。

エンジンを鉄から樹脂に代わるとなにがいいの?

一番はエンジンの軽量化による燃費向上です。

エンジンを樹脂化できれば、2000ccクラスの車で約40kg以上軽量化できると見込まれており、これは燃費が3%向上する計算になります。

昨今のエコカーブームによって自動車メーカー各社の燃費性能の競争は激しく、エンジン単体での燃費向上は限界に近いぐらいまで効率化が進んでいます。

その極限まで効率化されたエンジンの燃費をさらに3%改善するのは、いわば乾いた雑巾を更に絞るようなもので、並大抵の努力では達成できないぐらいの数字なんですね。

それが材料の変更で達成できる目途があるのですから、各社開発に熱が入ろうというものです。

もう一つはコストの低減です。

エンジン素材の鋳鉄よりも樹脂のほうが材料として安価なので、エンジンの製造コストが下げられます。

ほとんどのエンジン部品は樹脂パーツに置き換え可能?

最近ではヘッドカバーや冷却系統に樹脂パーツが使われていることも少なくありませんが、実は燃焼室や排気系統などの高温部と、動力計を除くと、ほとんどのエンジン部品は樹脂に置き換えることが可能なのだそうです。

また、クランクシャフトやコネクティングロッドなどの大きな力がかかる部品は、耐熱性や耐久性の問題がクリアできないため樹脂化できない部分です。

ほとんどのエンジン部品が機能的に樹脂に置き換え可能ですが、長期間の熱による樹脂部品の劣化や影響など、実用化に向けた検証が待たれるところです。

それでも2023~2025年頃の実用化を目指しているとのことで、あと10年もかからずに樹脂エンジンが実用化されるところが驚きです。

既存エンジンの課題

既存のガソリンエンジンは、そもそもガソリンのエネルギーの20~30%程度しか動力に取り出せていないんです。熱効率30%行けば相当優秀なエンジンです。

ガソリンエンジンでは低回転から高回転まで、ほぼ全域でのパワーが求められるので、がんばっても熱効率が20~30%より高くはならないんですね。それ以外は機械損失や熱と音で失われてしまいます。

それを改善したのがハイブリッド車で、ハイブリッド車のエンジンは定出力型なので熱効率40%を実現しています。

定出力型エンジンなので低速域や加速は電気モータが担当します。つまりエンジンが苦手なところを電気モーターがカバーしてくれるので、熱効率を高めることができたわけです。

しかしこの先内燃機関の効率化を追求したとしても、熱効率が70%や80%に上げることはかなりの夢物語であることも事実です。

エンジンの素材変更だけで燃費効率を改善できる樹脂化は自動車メーカーとしては熱効率を追求するよりも実効性のある取り組みなわけです。

まとめ

最近では燃費競争が頭打ちになってきた感がある上に、これ以上の劇的な燃費改善は見込めないのですから、エンジンの樹脂化という軽量化と燃費向上に直結するテーマに力が入るのは自然なことです。

エンジンの樹脂化が実用化されれば、車重1トン前後の車は軽量化によって自動車重量税の重量区分が一段下のクラスになるかもしれません

いずれにせよ、私たち消費者にもメリットがある技術ですので、今後の開発に注目したいと思います。

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