カスタムしていないノーマルのSR400のいいところとダメなところを出来るだけ客観的にレビューしてみた

昨年9月にSR400が惜しまれつつ生産終了したのは記憶に新しいところ。

YAMAHA SR400、ついに生産終了
YAMAHA SR400、ついに生産終了
2017年9月1日、ヤマハは代表モデルとも言えるSR400の生産終了を発表しました。(哀 SR400と言えば30年以上も発売当...

40年の長きに渡って1度もモデルチェンジせずに販売されつづけてきたのは、その扱いやすい特性と、広い世代に受入れられてきた味のあるデザインなのではないかと思います…なんてことは今更僕が言うまでもありませんね。

SR400は長い間販売され続けてきたこともあって、多くのSRオーナーさん達が発信するブログの行間からは溢れんばかりの”SR愛”が滲み出ていますね。

しかしその一方で、「SR愛」が強すぎて欠点すら「それがSR」と、もはやアバタもエクボ状態になっているブログも少なくありません。安くないお金を出して購入したバイクですから、多少欠点があっても人はそれを簡単に認めたくないものです。

ある程度、経験があるライダーであれば400ccの単気筒車に過度な期待を持つことは少ないでしょうが、初心者が「SR愛」満載のブログをストレートに受け取ってしまって、いざ乗ってみたら「それほどでもなかった」と手放してしまう話もよく耳にします。(残念)

そこで、今回訳あってZRX1200R(2004年式)からSR400(2017年式)に乗換えた僕が、SR400のいいところとダメなところを出来るだけ客観的にレビューしてみようと思います。

SR400のイイところ

おそらくSR400を買う人はクラシカルなスタイルが好きな人であり、フルカウルのスーパースポーツ車好きとは対極にあるライダーだと思います。

僕はどちらかというとZ1000RとかZ750GPなどのネオクラシック系のネイキッド車が好きで、外観がローソンレプリカ(Z1000R)で中身は最新のエンジンだったZRX1200Rに乗っていたわけですが、ZRXを所有した14年の間にバイクに対する趣向も変化して、ZRXよりももっとクラシカルなバイクに乗りたくなりました。

一応、そういうバックグラウンドの人間がレビューしていますので、最初からSRに乗っている人には納得し辛いこともあるかもしれませんが、その点はご容赦下さい。

1.足着きがメッチャいい!

ZRX1200RもSR400もカタログスペック上はどちらのシート高も780mmですが、身長172cmの僕がまたがるとZRX1200Rは両足のかかとが少し浮きます。一方、SR400は両足ベッタリ着く上に膝が少し曲がるぐらいです。

これはシート幅の違うためで、シート幅の違いはエンジンブロックの大きさの違いによるものです。

当然ですがZRX1200Rはビックバイクでは小柄の部類とは言え並列4気筒エンジンが股の間にあるわけですから、シートの幅もそれなりに広くなります。

「別にかかとが浮いてても乗るのには支障がないのでは?それより身長が低くてもビックバイクに乗っている人はいるし」と言われるかもしれません。

確かにそのとおりで、運転するのには両足ベッタリ付かないことは大した問題ではないですが、問題はまたがった状態での取り回しです。

またがった状態でちょっと動いたりするのがすごく大変なんですね。特に停めたところがほんの少し傾斜していると、またがった状態で移動するのはほぼ無理です。

「そんなの降りて押せばいいじゃん」と言われればそうですし実際にはそのように取り回ししていましたが、だんだんそれが億劫になってくるんですね。

おそらくZRX1200Rの乗り心地が好きで好きで仕方がないのであれば、足着き性なんて些細なことだったのですが、時間とともに並列4気筒の乗り味に飽きてきたことが、そういった「些細」なことが気になるようになってきたのだと思います。

ビッグバイクからSR400に乗り換えてみると、両足ベッタリで膝が余るぐらいな足着きなので、またがったままの移動が本当に楽です。

足着き性がいいとバイクの取り回しが楽すぎてストレスがありません。

ビックバイクからSRに乗り換えると、決して誇張しているわけじゃありませんが、最初は「原付に乗換えたのかと思うぐらい」の感覚になります。

そのぐらい足着き性は乗り手に及ぼす影響が大きいです。

多分、僕の身長が180cmぐらいあればこんなこと思わなかったかもしれません。

2.車体が軽い

今まで240kg(ZRX1200R)を取り回していたせいか、SR400の車重174kgはメチャクチャ軽いです。それに足着き性の良さも相まって取り回しが非常に楽

ZRXのときは、ふとしたときにバイクがグラっと傾くと、重量が重量だけに足の力だけでは支えられずに立ちゴケしてしまったことが何度かありました。

そのため、停止しているときでもバイクが正立を保っていることに神経を張っていましたが、SRは停止中に多少バイクが傾いても、足着き性がいいので足の力でバイクを正立するまで踏ん張れます

車重が軽いということは立ちゴケに対する不安を軽減し街乗りでの扱いやすさに繋がります。(その反面、車重の軽さは高速走行時の安定さを欠くデメリットがありますが)

3.鼓動感

これはビッグシングルであるSRの最大の特徴で、単気筒400ccがドコドコ動くときの振動は、いかにも「機械が動いている」ということを実感させてくれます。

もちろんエンジン的には並列4気筒やV型2気筒のほうが滑らかに回る上にパワーもありますから、絶対的な性能で言えばSRの性能は劣っています

それでも現代の洗練されたエンジンでは味わえない鼓動感は乗る物を虜(とりこ)にさせる不思議な魅力があります。

ライバル車種のCB400SSのようにエンジンに振動を打ち消すバランサーが付いていないので、SRの購入を検討している人の中にはその振動を心配する人もいますが、逆に僕はこのぐらいの振動が無いとビッグシングルらしくないなぁ、と思ってしまいます。

4.燃費

ZRX1200Rの燃費は街中で15~16km/L、高速で20km/L前後でした。

排気量の割には高速道路での燃費が20km/L超えるのはなかなかですが、ただそれは巡航速度が80km/hまでの話で、法定速度上限の100km/hで巡航するととたんに燃費が15km/Lぐらいまで落ち込んでいました

一方SR400(FI)は、街中でも30km/L、高速道路では35km/L近くの燃費を叩き出します。

先日、満タン状態から給油ランプ点灯まで300km走ったので、300km ÷ 9Lで33.33km/Lでした。(SRはタンク容量が11L、リザーブが2Lなので実容量は9L)

しかし、どんなバイク/車でも燃費とパワーは反比例の関係にあるので、燃費がいい=パワーが無いのは仕方ありません。

大型バイクから乗り換えると予想以上にパワーが無いことに驚くと思いますが、その反面、ガソリン高騰している今、メチャクチャ財布に優しいバイクです。

5.クラッチ軽い

ZRXは油圧クラッチで結構重いです。そのため、レバー位置の初期位置を一番手前にして乗っていました。ただ、半クラの範囲が狭くクラッチレバーを握る量が少なくて済んだので、ビッグトルクと相まってコントロールはしやすかったです。

それに比べるとSRのクラッチは超軽いです。メッチャ楽です。

以前は渋滞にハマると重いバイクで低速走行を強いられて、半クラを多様する左腕がパンパンになりましたが、SRは車体が軽い上にクラッチが軽いので渋滞が全然苦になりません。多分足着きがいいのも影響していると思います。

6.意外とよく効くブレーキ

よくSRの評判で「フロントがシングル(ディスクブレーキ)で…」とか「ドラムブレーキ(リア)の効きが…」とか耳にしますが、乗った感じでは前後ともよく効きます。

フロントはシングルディスクですが、SRの車重と用途から見れば十分な制動力がありますし、リアのドラムブレーキはむしろZRXのリアディスクブレーキよりも効きがいいぐらいです。

元々リアブレーキは制動に使うよりも、車体挙動に使うのがメインなのでそれほど制動力は必要としませんが、それでもこれだけ制動力があれば必要十分でしょう。

少なくともフロントをダブルディスクにするとか、リアをディスクブレーキに交換したい、なんて気は全く起こりません。

恐らくSRのブレーキの効きがイマイチ、と言ってる人は峠やサーキットでガリガリ走るときの話じゃないかと思います。

街中での実用では全く問題ありませんね。

7.メンテ・維持費が安い

やはり空冷・単気筒の車両はメンテナンスが楽ですし、交換パーツが少ないので維持費が安いです。

ZRXもそうですが、最近のバイクの冷却方式は水冷が主流で、しかも操縦性をアップさせるために重量物を重心近くに集める「マス(重量)の集中化」を行っている車両が多いです。

その結果、車体はコンパクトにまとまって扱いやすくなるものの、プラグ1本外すのにシート、タンクを外さなければならない車両がほとんどではないでしょうか?

以前もメンテナンスについて書いたのですが、ZRXはプラグホールガスケットを交換するのに、シート、タンクを外し、冷却液を抜いてクーラントホース外さないとヘッドカバーにアクセスできません。

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プラグホールガスケットは1個300円、4気筒なので高々1200円の部品ですが、それを交換するのにタンク脱着+クーラントホース脱着+クーラン補充&エア抜きで工賃が1万円以上かかるんですね。

それ以外にも、ZRXはタイヤは前後交換すると軽く3~4万円吹っ飛びますが、SRは前後で2万円+工賃程度で済みますし、フロントブレーキもシングルディスクなのでキャリパーメンテも1個で済みます。

ZRXのブレーキはダブルディスクの上に6ポットキャリパなので両側で12個もピストンがあります。ピストンが12個ということはキャリパーのシールが各ピストンにつき2つ必要だったので、両側で24個必要です。いくらビックバイクとは言え6ポッドも必要なのか?と思いましたが、案の定、ダエグから4ポッドキャリパーに変更されました。

オイルもZRXは約3リットルなのに対して、SRは2リットルで済むので油脂類も安上がりです。

一つ一つの交換部品はそれほどでも無いのですが、車齢が進んでいろんなところが壊れてくると、ジワジワと財布を直撃するんですよね。

…と、SRのいいところを挙げながらZRXをディスってしまいましたが、維持費やメンテナンス性を除けば、ZRXはよく出来たオールマイティなネイキッドバイクだと思います。本当、ガレージがあれば手元に置いておきたかったと今でも思います。

SR400のダメなところ

1.遅い

多くの方はSRのスタイルに惚れて買った、もしくは乗換えた人がほとんどなのであまり言いたくないのだと思いますが、ハッキリ言ってSRは遅いです。

「峠でトルクを使って走れば~」とか「上まで気持ちよく回る~」とか言いますけど、遅いことを別の言い方で言ってるだけです。400ccの中でも間違いなく遅い部類でしょう。

発進時の出足も下手すりゃ125ccスクーターに負けますからね。

高速は100km/hぐらいは普通に出せるのでロングツーリングで困ることはありませんが、加速が悪いので追越しが大変です。

例えば高速道路の走行車線を80km/hで走っているとき、遅い軽トラックを追い越そうとしても、80→100km/hまでの時間が遅く(加速が悪い)、追い越し車線に車がバンバン入ってくると、なかなか追い越すタイミングが掴めない、というジレンマがあります。

これがZRXだったらアクセルを軽くひねるだけですぐに100km/hまで加速できますから、その感覚に慣れている人がSRに乗ると、加速がもどかしく感じます。

2.キック始動

今でも始動方式がキック+セルスターターという車種は結構ありますが、現代ではキックスタートのみという車種はSR400しかありませんし、SRが販売終了してしまった現在、新車でキックスタートのみというバイクは無くなってしまいました。

そのことを「こだわり」と取るか「コストダウン」と取るかは人それぞれですが、僕の個人的感想だと「キックスタート、面倒臭いww」です。

キャブ仕様に比べてFI仕様車は格段にエンジンが掛かりやすくなっています。

ちゃんとデコンプレバーを引いてキックインジケーターで小窓が白になった状態でキックペダルを踏み降ろせば、エンジンが掛からないことはまずありません。

慣れれば、デコンプレバーを引かずに上死点を探ってキック→始動することもできるようになります。FIは特にラクチンです。

でも、そこはやっぱりセル始動より面倒な面は否めません。

特に実感するのが、青信号で発進する際にエンストしたとき。

特に片側2車線道路の右側車線にいるときや、右折レーンにいる時なんかは後続の車が気になってメチャクチャ焦ります。

キック始動に慣れないうちは、後続車の邪魔にならないよう左側に寄せて再始動するしかありませんが、これがセルモーターが付いてる車種であれば、その場で「キュキュキュ、ボン」と簡単に再始動できるので安心感があります。

慣れればキック始動は苦になりませんが、ただそれはあくまでも駐車場とか路肩で止まっているときの話なので、跨ったままキックスタートできるように練習しておくと信号待ちや右折待ちにエンストしたときに非常に役立ちます。

身長が160cm未満の女性だと跨ったままのキックスタートは体格的に厳しいので、そういった人は素直に路肩に移動して再スタートするようにしましょう。

3.シートがボルト止め

これも他の車種から乗り換えた人が驚くポイントですが、SR400のシートはボルトで固定されているんです。

恐らくSRはシート下に収納スペースが全く無いのでシート自体を開ける必要が無い、と割り切ったのでしょうね。

ただ、多くの人は車検証や自賠責保険証などの書類を、シート裏側に貼り付けて収納している人も多いので、多くの車種で採用しているようにキーでシートが外れるようになっていればいいのに、と思ってしまいます。

特にお巡りさんに止められ「車検証見せて」と言われたら、車載工具出して10mmのレンチでボルト2ヶ所外すしかありません。

みんなどうしてるでしょうかね?

4.小物入れが全く無い

シートをボルトで固定するぐらいなので、SRには小物の収納スペースが全くありません。

FI化のときに燃料ポンプを置くスペースが無くいろいろ苦労した形跡が見え隠れするので、あまりそんなことを言うのも酷なのかもしれません。

…でもふと思ったのは、前に乗っていたZRX1200Rってシート下の収納スペースがメチャクチャ広いんですよ。牛乳パック2~3本は入るぐらいのアクセサリーボックスがあるので、レインウェアやヘルメットを脱いだあとの髪型隠しようの帽子を入れたりと何かと重宝しました。

で、ZRXとSRって全長やホイールベース(軸間距離)はほとんど変わらないんですよ。

SR400 ZRX120R 差分
全長 2,085mm 2,120mm 35mm
全幅 750mm 780mm 30mm
全高 1,100mm 1,150mm 50mm
軸間距離 1,410mm 1,465mm 55mm

こうしてみると、ZRXとあまり差がないですね。

ZRX1200R自体、ビッグバイクの中では比較的コンパクトな部類に入るのですが、それでもシート下にあの空間が取れるんですね。

ホイールベース(軸間距離)も55mmしか違わないので、SRでももう少しスペースが取れればいいのに…と思っちゃうわけです。

無い物ねだりと言われればそれまでですが。

SR400まとめ

本来、SR400は単気筒エンジンゆえの非力さはあるにしてもその分車体重量が軽くなり、軽快な操縦性が得られるところを狙ったモデルなんですね。SRが”Single Roadsports”の略である理由はそこにあります。

僕のファーストインプレッションでSR400は「遅い」と書いてしまいましたが、それはあくまでもZRXに乗っていたことによる相対的な評価であって、SRに慣れてくるとエンジンを目一杯使って走らせることができるようになってきて、「遅い」という不満よりも「操っている」という満足感のほうが大きくなる、実に不思議なバイクです。

とは言っても、そこはやはり40年前に設計されたモデルであり、現代のバイクと比べるとイケてない部分がたくさんあります。振動だったりキックスタートだったり。

クラシックスタイルが気に入って乗り換えてみたものの想像よりも振動が酷くて手放してしまった、とか、高速で仲間に置いてきぼりされてイヤになってしまった、といった話をよく耳にしますので、SRの購入を考えている人は、試乗してみることを強くオススメします。

僕は20年以上前に友人のSRを預かっていた時期があって良くも悪くもSRの乗り心地を知っていたので、期待度に対するギャップはそれほど大きくありませんでした。むしろFIの始動性に感動したぐらいです。

これからSRを検討する人にとって少しでも参考になれば幸いです。

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